最新技法のふんわり眉アートメイク×美肌治療で、顔全体を美へと導くアーティスト
滝沢まい――現在のお仕事とこれまでのご経歴を教えてください。
The Artmake Tokyo(ジ・アートメイク東京)で、眉毛、アイライン、リップ、生え際などのアートメイクと美肌治療の施術を行っています。
大学を卒業し、1年ほど大学病院で急性期の看護を経験した後、美容皮膚科の「銀座フェミークリニック」に転職して美容ナースになりました。
銀座フェミークリニックでは、約10年間レーザー治療全般を担当。その後、アートメイクのスクールで講習を受け、大手アートメイククリニックに転職して半年ほど勤務しました。そして、スクールの同期生にお誘いいただいたことをきっかけに、2021年1月からThe Artmake Tokyoに勤めています。
――どうして美容ナースになろうと思ったのですか?
看護師になるための勉強をしていたときから、美容ナースの仕事に興味がありました。私が学生だった当時は、美容ナースの新卒求人がほぼ無かったので、まずは病棟での臨床経験を積んでから美容ナースを目指そうと思って。
なぜ美容ナースを志したかというと、看護師として“もともと良いものをより良くする”施術に関わりたかったからです。病気の治療は、いわばマイナスの状態からゼロに戻すお手伝いですよね。
プラスの状態をより美しくするお手伝いができる美容医療は、やりがいがありそうだし、自分の性格にも合っていそうだと考えていました。
――アートメイクに興味を持ち、技術を身に付けたいと思ったのはなぜでしょうか?
美容皮膚科に勤めていたとき、自分自身が施術のモデルになる機会が多かったんです。1日に何回もメイクを落として施術を受けての繰り返しで、その度に眉毛を書き直すのがすごく大変で。
なにかいい方法はないかと思って、眉毛のアートメイクの施術を受けました。自分が実際に体験し、なんて便利な施術なのだろう!と感動したのが始まりです。
そして、アートメイクについていろいろ調べていくうちに、2005年にアートメイクが医療行為に認定され、医師または看護師が施術を行うことが義務付けられていると知りました。自分が今持っている看護師免許で施術できるものだと知り、チャレンジしてみたくなったんです。
働いていた美容皮膚科では、脱毛やシミ取り、ニキビ治療など、何かを取り除いたり、直したりする施術がほとんどでした。それとは逆に、アートメイクは、眉毛やアイラインを足して美しい状態を作り上げる施術です。今まで経験してこなかった分野でしたし、魅力的だなと感じ、アートメイクの道に進むことを決めました。
――滝沢さんの施術の特徴は?
美容皮膚科での経験と知識がベースにあるのが強みです。眉毛など一部のパーツだけでなく、顔全体を見て総合的に判断し、ベストな方法をご提案できます。
The Artmake Tokyoでは、アートメイク以外の美容施術も行っていますので、肌の状態を見て、ほかの美容施術との組み合わせを提案させていただくこともあります。例えば「今アートメイクをするよりも、もう少しニキビを落ち着かせてからのほうが色持ちも良くなりますよ」といったアドバイスをすることもありますね。
――滝沢さんの描く眉毛は、ふんわり自然な見た目に仕上がると評判です。その秘密は?
日本ではまだあまり広まっていない、最新のパウダー技法を取り入れています。眉毛のアートメイクは、毛並み、パウダーの2つの施術方法に大きく分けられます。ですが、従来のパウダー技法は、施術直後の色味が濃すぎるなどの理由で、あまり受け入れられていなかった印象です。
私が取り入れている最新の技法は、アメリカでは「パウダーブロウ」などと呼ばれていて、施術後の色が比較的薄かったり、皮むけが軽かったりとダウンタイムが楽と言われているものです。仕上がりもエアリーで自然な雰囲気です。
アメリカの先生にオンライン講習で教えてもらった技術と、日本のスクールの師匠から伝授していただいた技法をミックスして作り上げた、オリジナルの技術を使っています。
――滝沢さんの作る眉毛「#たきまゆ」について詳しく教えてください。
少しアーチのある大人っぽい眉毛を得意としていて、「#たきまゆ」の愛称で親しんでいただいています。銀座が似合う、きれいなお姉さんにぴったりのイメージですね。すっぴんでも浮かないナチュラルな仕上がりなのも特徴です。
また、若いころに細眉が流行していた30代後半から40代の方は、自眉がほとんど残っていないと悩む方が多いです。私自身もその世代で、気持ちはよくわかりますし、地毛が少なくてもきれいな眉毛を描くことができますよ、とお伝えしています。
理想的な眉毛を叶えるためカウンセリングに力を入れています
――施術で意識していることは?
そのお客様にとって理想の眉毛を手に入れてもらうため、カウンセリングには特に力を入れています。アートメイクは、一度施術したら2~3年は残るもの。後悔されることがないように、カウンセリングにはかなりの時間を割いています。
「どんな眉毛にしたいですか?」とお伺いしたとき、ご自身の言葉で正確に表現できる方はほぼいません。「よくわからないけど、いい感じにしてください」とおっしゃる方が大半です。
ですので、どのような眉毛ならお客様が幸せに過ごせるかを導き出すため、カウンセリングではたくさん質問をしています。普段のメイクの濃さ、すっぴんのときにどれくらい眉毛を残したいか、ヘアカラーを変える頻度、運動習慣の有無なども聞きますね。
接遇面は、銀座時代にかなり厳しく指導していただいたので、そのときの経験も今に生かされていると思います。
――美容業界への思いをお聞かせください。
美容クリニックが増え、全体的に価格も下がり、美容医療は身近なものになってきていますよね。それはすごくいいことだと思う反面、お客様が何を基準にクリニックを選んだらいいのか難しくなってきているとも聞いています。
本当に自分に合ったクリニックや施術を見つけてもらうためには、医院やナース側から、美容医療について発信するのが必要でしょう。
美容医療の中でもアートメイクは特に、仕上がりや施術の流れがわかりにくく、不安に思われる方も多い施術だと思っています。私自身もSNSを中心に、施術事例やケア方法などを積極的に発信しているところです。
――今後どんなことに挑戦していきたいですか?
引き続き、アートメイクにフルコミットしていくつもりです。同時に、お客様の顔を総合的に見たうえで美しい状態にしてあげたいとも強く思っているので、美肌治療などアートメイク以外の施術にも力を入れていきます。
アートメイクをきっかけに、シミもきれいにしてみようとか、しわも改善しようとか、他の部分に目が行くお客様も多いです。そんな方々のお手伝いができたらなと思っています。
また、アートメイクは、技術力が重視される傾向にありますが、カウンセリングでご希望を引き出すコミュニケーション能力も大切です。技術もコミュニケーションも兼ね備えたアーティストが育ち、理想の眉毛を手に入れられるお客様が増えたらいいなと思っています。
取材・文/小原らいむ