2022.09.12 97pv

助産師の経験と専門知識を生かし、女性の美と健康をトータルサポートする美容ナース

Tsugawa

――Tugawaさんがこれまでに経験されたお仕事について教えてください。

助産師、保健師、看護師の免許を取得しています。卒業後は、地元の大学病院に助産師として就職し、副看護師長も務めました。大学病院で母子の健康をサポートする傍ら、大学院に通っていたこともあって、そこで学ぶうちに助産師の教育にも興味が湧いてきたんです。それからは、看護大学内の助産師を養成する学科で教員として働きました。

助産師を目指した経緯としては、もともと、いのちの教育に関心があり、はじめは保健師として働きたいと考えていました。ですが、助産師の実習で出産介助についてから、助産師の仕事に興味が湧いて。そして、助産師の仕事を通じていのちの教育に関われたらと考えるようになり、その道へ進むことにしました。

その後、東京への引っ越しをきっかけに、美容ナースに転職。2021年の春から、目黒にある「くさのたろうクリニック」でオペのサポートや美容施術を担当しています。くさのたろうクリニックは、美容クリニックでありながら、乳房の再建治療に力を入れている草野太郎先生が院長を務める医院です。前職で乳房に関わっていたため、以前からクリニックの存在は知っていました。上京するタイミングでご縁をいただき、美容ナースとして働くことになりました。 

2022年2月からは、雇用形態をアルバイトに変更し、美容ナースとして働きながら超音波(エコー)検査や胎児エコーの勉強をしています。現在の業務状況は、以前からのご指名のお客様を中心に、レーザーなどの美容施術で予約を賜ることが多くなったため、美容施術がほとんどです。

――助産師から美容ナースに転身されたのはなぜですか?

美容に興味を持ったのは、自分自身のニキビがスキンケアの工夫で改善したことがきっかけです。大学病院で助産師として働いていた時、原因不明のニキビに悩まされた時期があって。皮膚科に通院してもなかなか治らず、すごく悩んでいました。 

それまでの私は、スキンケアや美容にはあまり関心がありませんでしたが、ニキビを治すために独学でスキンケアの勉強を始めたんです。勉強を通じてあるドクターズコスメにたどり着き、スキンケアのやり方を工夫したところ、肌の状態がみるみる改善。この体験から美容に興味を持つようになり、転居を契機に美容ナースになりました。 

――美容施術の中で得意な施術を教えてください。

一番好きなのはハイフです。私は、もともと勉強することがすごく好きなタイプ。当たり前ですが、解剖学や機械の仕組みから、「そもそもレーザーとは何か」という根本的なところまで突き詰めて、徹底的にハイフについて学びました。習得した知識に基づき、最大級の効果を出せる施術を提供できるように工夫を重ねています。

 患者様に対しては、一人ひとりの患者さんの思いに寄り添うことを一番大切にしています。患者様のニーズを聞き取るときに、今後どうなりたいかといった未来像も含めて話し合い、納得していただいたうえで施術するようにしています。

――現在の仕事に助産師の経験は影響していますか? 

肌は、ホルモンバランスや心身の状態が影響しやすい部分です。だからこそ、美容医療やスキンケアをするにあたって、女性特有のアップダウンも考慮する必要があるでしょう。

今まで、助産師として多くの女性を支援してきましたので、ホルモンバランスや、出産や加齢などライフステージに伴う女性の体の変化を熟知しています。カウンセリングでは、就寝時刻や仕事内容に加え、ピルを服用しているかなども含め、患者様のライフスタイルを詳しくお聞きします。患者様からお話を聞くと、その方が今どんな状態なのかがなんとなく見えてくるんです。体の状態を把握したうえで、一人ひとりに合ったホームケアや治療のアドバイスをします。 

また、ホームケアは、継続できないと意味が無いもの。とにかくハードルを下げて下げて、無理なく取り入れられそうな習慣から挑戦してもらいたいという思いを念頭にお話ししていますね。 

美容医療にとどまらず、エコー検査やヨガなど多角度から女性を支援

――施術で意識していることは?

医療を提供する際に最も大切なのは、リスクを最小限に抑えることだと考えています。そうは言っても、効果が出なければ患者様には満足していただけません。そこで目指すのは、リスクを抑えながらも、高い満足感を得られる施術です。安全で効果の高い施術を提供するためには、私が知識と技術を付けるしかありませんので、日々勉強を続けています。 

また、施術中は、どの部分にどんな施術をするのか、細かく説明することを心掛けています。事前に説明することに加えて、例えばレーザーを照射するとき「今から額に当てますね」「ここからは機械のモードを変えて施術していきます」など、細かいことでも丁寧にお伝えします。これが、私を信頼して通ってきてくださっている患者様への誠意を見せる一つの方法だと考えています。 

――美容業界への思いをお聞かせください。

元助産師という美容ナースとしては珍しい経歴を持つ身としては、スキンケアや美容医療にとどまらず、総合的に女性の美と健康を支援していけたらいいなと思っています。

美容医療は、専門性が求められる分野です。同時に、視野を広げて総合的に患者様をとらえる力も必要だと思っています。肌の悩みで来院された方でも、対話を通じて患者様のことを知ると、看護師としてプラスアルファで何か支援できることが見つかるはずです。 

――この先どんなことに挑戦していきたいですか?

エコー検査の勉強と並行し、ヨガインストラクターの国際ライセンス取得を目指しています。ヨガは、10年くらい続けてきました。既にマタニティヨガのライセンスを持っていて、大学病院で働いていたときにレッスンを行っていたこともあります。新たなライセンスを取得し、インナーケアも含めて、さまざまな角度から女性の美と健康へアプローチできるようになりたいですね。

 医療従事者だからこそできる支援にも力を入れていきたいです。私が勉強しているエコー検査など、医療従事者にしかできないことがあります。私自身の引き出しを増やし、美容やスキンケアのサポートと合わせて、女性のためになる医療行為も行っていきたいです。患者様をトータルで支援できる方法を模索し続けます。

取材・文/小原らいむ