2022.09.30 100pv

美容メンズナースの先駆け的存在。“楽しさ”という付加価値のある施術を!

こーじ

――これまでに経験されたお仕事を教えてください。

大学病院の小児科に3年間勤務した後、大手美容外科に転職しました。そこでは外科と皮膚科の両方に関わりましたが、主に担当していたのは皮膚科の施術です。スタッフ指導やリーダー業務も経験しながら、3年半美容ナースとして働きました。

その後、立ち上げにも携わった赤坂のイートップクリニックに移りました。イートップクリニックは、眉下リフトを専門とする増田えりか先生が2021年に開設したクリニックです。

現在は、眉下切開や眼瞼下垂のオペ介助に加え、ハイフ、ダーマペン、ハイドラジェントルなどを施術しています。ヘッドスパの資格も取得し、頭皮環境を改善するメディカルヘッドスパも担当しています。

――美容ナースになろうと思ったのはどうしてですか?

小児科の看護師をしていたとき、ニキビとニキビ跡に悩まされていました。自分の肌を見るたびに落ち込みましたし、メイクのノリも悪くなってしまって。肌の状態を改善するために、もともと好きだった美容について本格的に学び始めたんです。そこから美容に対する情熱が湧き、美容業界に進みたいと思うようになりました。

あと、人と話すのがすごく好きで。小児科では、患者様に対してこちらが一方的に話す感じでした。でも、美容クリニックなら、お互いに会話のキャッチボールができる状態で、大好きな美容の話ができます。患者様とたくさんコミュニケーションをとれる美容ナースってなんかいいかもと思って、転職を決めました。

――こーじさんが得意とする施術について教えてください。

ダーマペンが一番の推しです。理由は、ニキビに悩んでいた自分の肌も、ダーマペンできれいになったから。ニキビ跡の中でも治りにくいと言われるアイスピック型のへこみも改善しました。自分がやってよかったなと思う治療だからこそ、力を入れていきたいと思うようになり、今では一番得意な施術になりました。

ダーマペンのいいところは、針の深さ、速さ、薬剤の種類など、一人ひとりの肌質や悩みによって変えられる部分がすごく多いことです。患者様の悩みを理解し、実際にお肌に触れて肌質を判断した上で、オーダーメイドの治療を提供できます。顔の部位やニキビ跡の状態に合わせて、針の長さやモードを細かく変えながら施術することもありますね。

針を使用するダーマペンは、トーニングやハイフと比べると侵襲性が高く、色素沈着などのリスクもあります。でも、ダーマペンの特性を踏まえて正しく施術すれば、結果を出せる施術なんです。リスクを背負う分、責任感を持って施術に取り組めるところにも、やりがいを感じています。

――美容業界には数少ない男性看護師として活躍するために心掛けていることは?

転職した当時は、今よりももっとメンズナースが少なくて、インターネットでもほとんど情報を見つけられませんでした。リアルな働き方が全くわからないままに転職したのを覚えています。

実際に働いてみて、VIOなど対応できない施術もありますし、患者様との相性の良し悪しなどメンズならではの苦労もあります。ですが、珍しい存在だからこそ、SNSなどで注目してもらいやすいなとも感じていますね。

自分がメンズナースとして輝く姿を見せることで、自分みたいな美容ナースになりたいと思ってくださる方が増えたらうれしいです。SNSでは、ちょっとふざけた感じの投稿もして自分らしさを出しています。こんな親しみやすい美容ナースもいるんだなと、男女問わず、憧れてもらえるような看護師になりたいですね。

また会いたくなる美容ナースを目指す

――施術で意識していることは?

患者様に接する「態度」が、自分がどれだけ真剣に向き合っているのかを見せられるポイントだと思っています。

意識しているのは傾聴と受容です。傾聴は、看護師の基本だと思っていて、とにかく患者様のお話や悩みをたくさん聞くんです。少し気になっているかも、くらいの小さなことでも掘り下げます。

そして、ただ話を聞くだけでなく、例え同意できないことをおっしゃっていても、いったんは「確かにそうですよね。わかります」と受け入れます。仮にもっといい治療や手段があれば正直にお伝えし、当院に無い治療なら、他のクリニックやナースの情報も惜しまずに提供します。

根底にあるのは、自分たちの利益ではなく、患者様の利益を第一にという思いです。患者様には正しい情報を伝えたいので、誠心誠意向き合って、違うことは違うとはっきりお伝えしています。

――美容業界への思いは?

美容クリニックが急激に増えて、自分に合ったクリニックを選ぶのが難しくなっています。クリニックのホームページに施術方法や効果は書かれていても、どんなスタッフがいるかなど院内の雰囲気的なところまでは見えないことがほとんどで、患者様にとってはわかりにくいと思います。

というのも、自分が勉強のために他院に通うこともあるのですが、怖いナースさんが担当だったら嫌だなとか、雑な施術だったらどうしようとか、毎回すごく不安になるんです。

自分は、そういう不安を少しでも取り除けたらと思い、クリニックのスタッフ同士でわいわいやっている様子や、自分らしさが伝わる投稿をしています。そういう発信をするナースが増えたら、患者様もクリニックを選びやすくなるのになと思っていて。

また、クリニックを選ぶとき、施術内容や金額、ドクターで判断する方は多いと思いますが、これからは看護師で選ぶ時代になってほしいです。

自分が尊敬するSASAERIさんというナースがいるのですが、当院の患者様が「ハイフならSASAERIさんがいいよね」と話していました。SASAERIさんの例のように「このナースがいるからこのクリニックに行きたい」と考える方が増えたらいいなという思いはすごくあります。

SASAERIのプロフィールはこちら

――こーじさんご自身は、どんな美容ナースを目指していますか?

傾聴や受容を大切にしているとお話ししました。もう一つ、自分がすごく大切にしているのは、付加価値を与えることです。

患者様にお金を払っていただいて、こちらが施術を提供するのは、お互いにとってプラスになる関係ですが、もう一つ上をいくようなサービスを提供したいと思っています。

例えば、施術中に患者様のお話や相談をすごく楽しく聞いてあげるとか、こちらからも興味を持ってもらえそうな話題を提供するとか。施術の初めから終わりまで、まるでテーマパークに来たかのように楽しんでもらいたいという思いで接しています。

「こんな楽しい施術は初めてでした」と言っていただけることも多くなりました。「またこーじさんに会いたいから美容クリニックに行こう」と思ってもらえるような看護師になりたいです。

取材・文/小原らいむ