2022.12.15 117pv

元韓国の大手クリニックでの経験を生かし、日韓の架け橋となる美容ナース

Yuko

ーーこれまでの経歴を教えてください。

新卒で大学病院に就職し、整形外科や消化器内科の看護師として5年ほど働きました。その後、皮膚科に興味が出てきたため、皮膚科のクリニックに転職します。そこで2年ほど働いた後 、語学留学のため韓国へ行きました。

韓国留学中に美容医療と出会い、帰国後に大手美容クリニックへ就職します。2016年に韓国の大手美容クリニックであるid美容外科に転職し、日本と韓国を往復しながら看護師業務やマーケティングを担当することに。id美容外科の銀座院が開院してからは、日本法人の代表取締役も務めていました。

2021年1月に代表取締役を退任し、同年2月から銀座のClinicKに勤務しています。ClinicKの院長を務める金児盛先生の存在は以前から知っていて、いつか一緒に働きたいと漠然と思っていたんです。代表取締役を退任するタイミングで、金先生が開院に伴い看護師を募集していることを知り、応募しました。現在は、看護業務全般に加え、 マネージャーと共にクリニック全体の 管理業務も行っています。

ーーなぜ美容ナースになろうと思ったのでしょうか。

韓国に留学していた時、現地の美容クリニックで 施術を受けたことがきっかけで、美容医療に興味を持ちました。それまで美容医療には全く興味が無かったのですが、自分自身が体験してみて「美容って面白いかも」と感じたんです。日本に帰ってきてすぐに、大手美容クリニックの面接を受けにいきました。

美容外科・皮膚科は、悩みやコンプレックスを解消し、人を幸せにできる科だと思っています。働いていてすごく楽しいし、やりがいを感じられる仕事です。その気持ちは新人のころから変わっていません。

ーー今、Yukoさんが力を入れている施術について教えてください。

韓国で人気がある頭皮のアートメイクFIXER(フィクサー)を、ClinicKが日本でいち早く取り入れました。

FIXERは、生え際や頭頂部など薄毛が気になる部分に、微小な黒いドットを入れるアートメイクです。毛根のように見えるドットで、悩んでいるところを自然にカモフラージュできます。施術は簡単そうに見えますが、実際は繊細さや技術力が求められます。色を入れる針の深さや強さの加減を誤ると、ドットがにじんで見栄えが悪くなってしまうことも。毎回、一つの作品を仕上げるイメージで丁寧に施術しています。講師としてFIXERの技術を普及する活動にも取り組んでいます。

あと、当院ではハイフも人気ですね。十分なショット数を打つことができますので、術後の引き締まり感がすごいと評判です。リピートしてくださる患者様も多くいらっしゃいます。

ーー韓国のクリニックで働いた経験は、今の仕事にどう生かされていますか?

生かせる ことはたくさんあります。実際に韓国人スタッフに囲まれて仕事をしていたので、韓国の文化や仕事の仕方や美容医療について、たくさんの事を学びました。ClinicKの金院長も韓国人で、仕事をする中で日韓業務や韓国の美容医療についてもお互いに理解しやすく、仕事もスムーズに進められることが多いです。

当院は、韓国の美容クリニックと提携していて、その提携先とのやり取りも任せてもらっています。先日、韓国のクリニックの先生とスタッフを当院に招き、韓国での施術に興味がある方に向けた相談会を開催しました。金先生の通訳で韓国の先生の診察を受けられ、韓国のカウンセラーさんと直接話せる相談会です。

実際に日程を決め、韓国で施術を受けた後は、日本での抜糸や術後ケアはもちろん、万が一トラブルが生じた場合も当院でフォローします。安心して海外で治療を受けていただくため、ClinicKの開院当初から実現したいと考えていた取り組みでした。

また、韓国の美容医療に興味がある患者様には、私から現地の情報をお伝えすることも可能です。

ホスピタリティを大切に、一歩先の提案ができるナースに

ーー施術で意識していることは何でしょうか。

金先生は、ClinicKの開院当初から「ホスピタリティを大切にしてほしい」と スタッフ全員に話しています。金先生の求めるスピタリティとは、単なるサービスとは違い、対価を求めるものではありません。患者様が本当に望んでいることを、患者様から言われる前に察して提供しようとする精神なのですが、それは一方通行な行動ではなく「相互満足」があってこそ成立するものなのです。

私たちナースと患者様が対面する時は、お会計も終わって施術する内容は決まっています。ですが、ただ決められた施術を提供するだけではなく、患者様の背景やライフスタイルも含めてヒアリングし、要望をかなえるための提案をします。3年後、5年後、10年後のことまで考えて、どういうスパンで何をやっていくのがベストなのか、ご予算も踏まえて提案ができるように心掛けています。

ーー美容業界への思いは?

私が美容業界に入ったのは2010年です。当時の美容ナースに対するイメージは、今とはだいぶ違いました。美容クリニックは、病棟勤務を卒業した看護師の転職先で、一度美容業界に進むともう病棟には戻れないものだと認識されていたように思います。

時が経ち、美容ナースは人気の職業になり、若いナースも増えてきました。患者様の意識も変化し、美容医療に対するハードルは年々低くなっていると感じます。とはいえ、韓国と比べるとまだまだだなと思うことも多いです。韓国では、美容室に行く感覚で美容クリニックに通う人も少なくないですし、中学生くらいからかなり高齢の方まで 患者様の層も幅広いです。

日本も美容医療に対する敷居はだいぶ低くなりましたが、それでもまだ美容に対する抵抗感を持っている方は多いと感じています。もっともっと手軽に、隠すことなく通える場所になっていったらいいなと思います。

ーー今後の目標を教えてください。

何年も前からいつか一緒に働きたいと思っていた金先生と一緒に働けている今、とにかくいろいろなことを一緒にやってみたいです。将来的には、ClinicKを日韓で通用する美容クリニックに成長させて、クリニック経営以外のビジネスにも挑戦してみたいと考えています。その一つが、先ほどお話しした韓国のクリニックとの提携プロジェクトです。金先生は、未知の世界でも多方面へ挑戦していく意欲旺盛な先生なので、私がサポートできることがあればサポートして、いろいろなことをやり遂げていきたいです。

これからも現場で活躍したいと思っていますが、自分の年齢も考えるといつかは限界が来るでしょう。ゆくゆくは、外から現場を支えるポジションで美容クリニックを見守っていけたらとイメージしています。

取材・文/小原らいむ