2022.10.06 225pv

目指しているのは、自分の家族や友達にもおすすめできる質の高い施術

莉子

――ご経歴から教えていただければと思います。

看護師になり、初めの3年間は都内の急性期の病棟で看護にあたっていました。総合内科、耳鼻科、皮膚科、形成外科などからなる混合病棟で働いていたので、美容医療と親和性のある皮膚科や形成外科の知識も身に付けられました。

その後、祖父が体調を崩してしまい、在宅ケアを手伝うために地元に帰りました。祖父の介護をするかたわら、高齢者施設でアルバイトをしたのち、急性期病院の看護師として働いていました。

美容ナースに転職してからは、美容皮膚科や大手美容クリニックなどで経験を積んだのち、2021年12月から表参道のKAUNIS CLINIC(カウニスクリニック)で美容皮膚科のナースを務めています。

――美容ナースに転職しようと思ったきっかけは?

美容が好きな母の影響もあって、学生時代からコスメやスキンケアに興味を持っていました。高校卒業後の進路を決めるとき、看護師になるか、エステティシャンなど美容関連の職種を目指すか、迷っていたくらいです。

看護師になった当初は、美容ナースという職業はあまり知りませんでした。皮膚科や形成外科で働く中で、保険診療から自由診療へ切り替える患者様と関わる機会もあり、美容医療や美容ナースに興味を抱きました。

看護師として5年ほど働いたころ、やっぱり昔から好きだった美容に携わる仕事がしたいと思い、転職することに。家族に「美容の道に進む!」と宣言し、再度上京して美容ナースになりました。

――莉子さんが自信を持って施術できるメニューは何ですか?

美肌治療全般を経験してきましたが、シミやくすみにアプローチするピコレーザーには特に力を入れています。

ピコレーザーは、施術を繰り返すことでより高い効果を実感できます。地道で根気もいりますが、できれば続けていただきたい治療です。

とはいえ、すぐに効果が実感できないとモチベーションを維持できず、続けにくいのも事実だと思います。だからこそ、一回一回の施術を丁寧に、お客様が気になるところを重点的にケアしたり、目元や口元などかなり細かい部分まで照射したりして、また受けたいと思ってもらえる施術にするよう心掛けています。「こんなところまで打ってくれるんですね!」と感動してくださる患者様もいました。

――満足度の高い施術を心掛けているんですね。ピコレーザー以外はいかがでしょうか?

毛穴をきれいにするハイドラフェイシャルも、丁寧な施術を心掛けているメニューの一つです。患者様によって、毛穴が詰まりやすい部分やお悩みが異なります。お話をしながらどこが気になるか伺い、改善したい部分を特に丁寧にケアします。

皮膚を吸いながら動かしていく施術ですので、少し引っ張られる感じが気になるとおっしゃる方も。痛みを極力感じさせないよう、当て方も工夫しています。

また、摩擦刺激で濃くなる可能性があると言われている肝斑が出る頬のあたりは、少し優しく当てるようにするなど、細かいことにも気を付けながら施術しています。

美容医療をもっと身近な存在にし、前向きな気持ちになれる人を増やしたい

――患者様と接するときに意識していることはありますか?

私はいつも、家族や友達など身近な人に受けてもらいたい施術を、どんな患者様にも提供していきたいと思っています。ここを重点的にケアしてもらったらうれしいだろうなとか、こんな対応なら通い続けたいと思っていただけるだろうなとか、患者様目線で考えることを大切にしてきました。

患者様の人柄やご来店の動機によっても接し方を変えるようにしています。例えば、ニキビにお悩みで、勇気を出して初めて美容皮膚科の門をたたいてくれた方には、私自身が病棟看護師時代にニキビで悩んでいた経験をお話することも。「私も美容医療のおかげで肌がここまできれいになったので、今回のこの一歩は無駄じゃなかったですよ!」とお伝えすると、初めは緊張されていた患者様も心を開き、悩みを話してくださることがありました。

一方、既に複数のクリニックに通っていて、美容医療の経験も知識も豊富な患者様には、納得感を持って治療に臨んでいただけるよう、専門的なお話を多めにするようにしています。

――美容業界への思いは?

美容クリニックが増加し、SNSなどで広告を目にする機会も多くなりました。コロナの影響もあり、ここ数年で患者様の数も増えています。

でも、いざ自分の理想を叶えてくれるクリニックを探そうと思っても、何を見て判断したらいいのかわかりにくいのが現状でしょう。医師のプロフィールを見られるサイトやHPはあっても、看護師の情報を探すのは難しいです。

特に、美容皮膚科では、看護師とお客様が接する時間が長いのにもかかわらず、どのようなナースに対応してもらえるのかが明確でないのは問題だと感じています。このことが原因で、自分に合ったクリニックに出会えず、満足のいく治療を受けられていない方も多いかもしれません。

Instagramなどで自己PRする美容ナースも増えてきましたが、今後はもっと、自分にぴったりのクリニックやナースを探しやすい環境が整ってくればいいなと思っています。

肌がきれいになると、それだけで気分が明るくなります。美容医療がもっと浸透すれば、お肌の悩みから解放されて、前向きな気持ちになれる人が増えると信じています。

皆さんにはそれぞれ、好きな美容師やネイリスト、トレーナー、整体師がいると思うんですよね。同じように、美容クリニックの存在ももっと身近に感じてほしいし、医療行為だからこそ明確で安心安全な施術を受けてほしい。患者様がどこのクリニックに行っても、満足できるような業界になることが理想です。

――莉子さんの今後の目標を教えてください。

患者様の気持ちに寄り添える美容ナースを目指しています。これは看護の基本ではありますが、とても大切なことだと思っています。

患者様は、コンプレックスや悩みなど、人にはなかなか言えない思いを胸に当院に来てくださっています。明るい気持ちになって帰っていただきたいし、今後も美容医療を続けていきたいと思えるきっかけになるような時間を提供できる看護師になりたいです。

安心感を与える所作や、心地よい雰囲気を作ることも大切ですが、それは技術があってこそ生きてくるものだと思っています。これからも、新しい技術や知識をアップデートし続けていく努力は惜しみません。

取材・文/小原らいむ